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20世紀末・日本の美術


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1997年(平成9年)
1997年(平成9年)
※ピンク色で貼付けてある事柄は、年表に出ていないが、登壇者により取り上げたいと希望があったものです。

中村:1997年は香港返還がありました。眞島さんからはアジア美術ブームも重要だという話を聞いていたのですが、この年アジア通貨危機もあるんですね。タイバーツと韓国ウォンが暴落する。グローバリゼーションがいよいよ本格的になってきているのかなっていう印象があります。

眞島:アジア美術については、私は当事者でもなんでもなくて、本当に印象の話なんですけれど、谷新(1947-)さんの『北上する南風―東南アジアの現代美術』(現代企画室、1993年12月)という東南アジア美術についてまとまって書かれた本が出版されたし、アジア美術の動向を紹介する様々な展覧会、それから福岡での黒田雷児(1961-)さんらの動き。90年代はアジア美術がグローバルにも盛んに言われていた時代で、その流れが日本に入ってきたのが90年代後半だったと思います。

中村:福岡アジア美術館が開館しています。ただ当時は日本からアジアを見るっていう感じでしたけれど、今では、たとえばポップ・カルチャーにおいては、東アジアと日本はほぼ一体化しているような状況が生まれていますよね。それこそ韓国の少女時代、それから嵐が上海行っても台北行っても大人気だという。香港、台北、シンガポールのアートフェアも盛況です。90年代当時は、例えば中国のことをこんなに意識するようになるなんて思ってもいなかった。

眞島:東アジア全体でハイブリッド化されたポップ・カルチャーを共有する傾向は、ゼロ年代以降は顕著ですよね。あと、日本の近代美術史とそれに対する批評の話をすると、旧来の西洋対日本という基本構図に東アジアが取り入れられるようになった。西洋画に対する日本画/洋画という構図を延長するような感じですね。日本を経由する形での東アジアにおける美術の近代化の研究が盛んになっていったのが、おそらく90年代後半からだと思います。

中村:そうですね。日本は明治維新で西洋文化が入ってきて日本画、洋画っていう言葉が生まれますけれど、たとえば朝鮮半島はもっと複雑で、日本の近代化を通して近代化するという…。

眞島:日本には帝展とか文展とか、そういう公(官)が主催する展覧会がありましたけれど、その外地版、たとえば朝鮮には朝鮮の展覧会(鮮展=朝鮮美術展覧会)があり、台湾には台湾の展覧会(台展=台湾美術展覧会)があり、満州には満州の展覧会(満展=満州国美術展覧会)があった。90年代は、そうした東アジアでの近代美術の歴史を読み込む仕事が始まった時代でもあると思います。

中村:この年にさっき話したYBAのアーティストが中心となったサーチ・アンド・サーチのコレクションによる「センセーション展」が行なわれています。

眞島:起きるはずがないと思っていたイギリス美術のコマーシャル化が、本当に起きてしまったということですね。

楠見:クール・ブルタニア政策がようやくここでアート界で実行支配を開始し始めた。

中村:クール・ジャパン政策は全然ダメなのに、イギリスは大成功。また話が戻るのかもしれないけれど、この年に「たけしの誰でもピカソ」(テレビ東京)が始まっています。

眞島:いわゆる現代アーティストのイメージが、どういう形であれお茶の間にバラまかれるようになったわけで、「たけしの誰でもピカソ」はやっぱり重要じゃないですかね。こういうものを現代アートの内側にいる人たちが気にするようになった、そういう時代でもあったと思います。


    黒田雷児

    福岡アジア美術館学芸課長。1961年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。2010年に黒ダライ児の筆名で『肉体のアナーキズム 1960年代・日本美術におけるパフォーマンスの地下水脈』(grambooks)を上梓した。<眞島>





北上する南風―東南アジアの現代美術
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20世紀末・日本の美術
ーそれぞれの作家の視点から
企画:中村ケンゴ
企画協力:MEGUMI OGITA GALLERY
音響機材:NORISHIROCKS
椅子提供:Civic Art
記録:小金沢智
ビデオ撮影:亀井誠治
販売協力:原花菜子
登壇者
眞島 竜男/現代美術作家
永瀬 恭一/画家
中村 ケンゴ(司会)/美術家
楠見 清(ゲスト・コメンテーター)/美術編集者・評論家
目 次
年表作成の為の参照文献
<年表作成の為の参照文献>
BRUTUS 2008年2/15号『すいすい理解る現代アート』/美術手帖 2005年7月号『日本近現代美術史』/山内崇嗣の美術史年表wikipedia『1990年代』FUKUSHI Plaza 『20世紀略年表』
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